蒸気な日常

PCゲーム(Steam)を中心に、映画、小説などの感想もつらつらと。

【Steam】2024年 今年遊んだゲームタイトルの振り返りと来年の期待作(前編: RPG&AVG)

2024年が終わってしまう

はてなのログイン方法もすっかり忘れていましたが、今年こそは振り返り的な記事を書いてみようと思います。

今年は公私ともに慌ただしく、仕事では機械学習やら仮想通貨など、これまで縁の無かった最新技術を扱うようになり、プライベートでは親族の遺産整理であたふたするなどしておりました(特にお金持ちになったわけではなく)。僕はもうすぐ50歳のおじさんなんですが、まだまだ世の中知らないこと、勉強することが多いなぁとあらためて感じる一年でした。


そんな中、今年もたくさんゲームを楽しんだのでいくつか挙げて紹介します。これまでのエントリと趣向が異なり、アクション要素ほぼ無し、アドベンチャー色強めで埋もれてしまいそうなタイトルを選んでいるので、読んでいただいている方のゲーム探索の一助にでもなればうれしいところです。

※2024年に遊んだタイトルで、2024年発売とは限りません。

2024年に遊んだRPG&AVGタイトル

RPG】Path of the Abyss

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タイトル自体は2023年12月にアーリーアクセスとして発売、継続的にアップデートがされ2024年12月もまだアーリーアクセスですが、正式リリースも遠くなさそう。ウィザードリィライクな白黒に近い色調の3DダンジョンRPGで、ゲームシステム自体は既にほぼ完成しており、アイテム・スキル追加やバランス調整などが行われている状況。ラスボス撃破までプレイ済みで、正式リリースとなったら再度プレイしようかと思っています。

Path of the Abyss、酒場にて。

特徴的なのは戦闘がターン制ではなく敵味方同時進行で進む点と、自分のパーティーの行動をあらかじめデッキのように組んでおくという点の組み合わせになっているところ。しかもかなりスピーディーに進むのが自分には新鮮な体験でした。任意のタイミングでポーズをかけることができるので、実際は焦る必要は無いんですが、BGMがハイテンポでノリの良いのと合わさって独特の緊張感があります。加えて、おそらく初見で目を引くセンスの良いイラストで表現される数々のモンスターやボスが、単調になりがちなダンジョン探索を盛り上げてくれる良作。

 

【アドベンチャー】たんぽぽプラネット-Dandelion Planet-

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こちらもまだアーリーアクセスのアドベンチャー。まだアップデートが行われてはいるものの、最後までひと通り遊ぶことができ、完成は遠くない気がします。遠い未来、どこかの田舎の星に療養に来た主人公が住民たちと触れ合う穏やかな日々を体験するテキストアドベンチャー

たんぽぽプラネット、住民とのふれあいに癒しを感じる

全体的に絵本のようなタッチで、優しい登場人物ばかりなので、忙しい日々を送る人にとってはこのゲーム自体が癒しの療養体験になるかもしれません。対戦型SNSやら対立煽りやらキャンセルカルチャーやら、つらいリアルに疲弊した人に触れてもらいたい作品。

 

【アドベンチャー】Eliza

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面白いけど難しいパズルゲームを多数発表しているZachtoronicsのビジュアルノベル的なアドベンチャー。以前から気になっていた2019年の作品。Zachtoronics作品ですが特に難易度の高い内容ではないです。

AIの開発者にまつわる物語で、ここで登場するAIというのは人間のカウンセリング用途に作られたもの。何でもできる自律的なAIではなく、あくまでカウンセリングの会話をするのは人間の顧客と人間のオペレーターで、AIはその会話を解釈して、オペレーターに次はこの話題を聞いてみようとか、こんなアドバイスを与えようといった指示を出します。

Eliza、カウンセリングを行っている画面。細かな情報量の多さが少し怖い。

プレイヤーはオペレーターの立場を体験することを通じて、色々な人とコミュニケーションを取ることになります。これはプレイしてびっくりしたんですが、このAIの仕組み、既に現在近いものが実際に作られています。センセーショナルな自律的なAIが登場する前の過渡期的なAIを想定した物語という着眼点は珍しく思え、近い未来だからこそ描かれる内容も現実的で、登場人物達の悩みや感情の揺れ動きは非常にリアルなものを感じました。Steamのタグでは「ディストピア」「SF」と付いていますが、このゲームの一部の内容はほぼ現実になる予感があります。AIに注目が集まっている今こそプレイする価値のある作品かもしれません。

 

【アドベンチャー】The Invincible

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スタニスワフ・レムSF小説『The Invincible』をベースとしたアドベンチャー。若干のアクション要素はありますが、複雑な操作や激しい戦闘等は無く、ウォーキングシミュレーターに近い作品。未知の惑星レギスIIIを表現したグラフィックスが美しいです。ホラーっぽく見えるかもしれませんがジャンプスケア要素は無し。発売は2023年で、2024年に日本語対応しました(おそらく家庭用機発売と同タイミング)。

レムの作品は『ソラリス』を小説・映画ともに鑑賞済みで、人知を超越する存在に出会ったとき人に何ができるか、何をするのか、というようなテーマはSFならではのものと思われます。本作もそういった相手に対する恐怖、怒り、受容といった一連のプロセス的なものをたどりつつ、マルチエンドの結末を迎えます。

The Invincible、美しくも不気味な惑星での探索。

ゲームプレイ後に原作小説を読んだのですが、近い内容ながら主人公とその境遇はゲーム向けにアレンジされており、雰囲気を損なわずにうまくレムの世界を体験できるように作られていると感じました。ハードSFのゲーム化という意味ではお手本のような作品なのかも。日本ではあまり見ないジャンルではあるものの、こういう作品はもっとプレイしてみたいものです(作るのは大変そう)。

 

【アドベンチャー】Nobody Wants to Die

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こちらもSF、レトロフューチャーな雰囲気ながら2329年とかなり先の未来で、人の意識をデジタル化して肉体をサブスクのように乗り換えて利用している、というのがキモの設定。主人公である刑事ジェームズは、ある富豪の殺人事件の捜査に取り掛かるが、事件の裏には様々な人物・組織の思惑がうごめいており……というハードボイルド探偵小説のような物語。レトロフューチャーと触れたように酒、タバコ、クラシックカーを模した空飛ぶ車など、20世紀の探偵モノの影響を色濃く受けている様子。主人公の口が悪いのも昔かたぎな探偵ものを思わせます。

Nobody Wants to Die、事件現場。

捜査には色々なガジェット・ひみつ道具が出てきて、時間をさかのぼったり熱反応をたどってみたり、こういった要素はいかにもゲームらしく、リッチなグラフィックスもあって使いこなすのが楽しいです。時間をさかのぼる捜査はTACOMA(これも良作)を思い出しました。この作品もアクション要素はほぼ無いです。流血・ゴア表現ありでジャンプスケアは無し。

このゲームは大きく2種類のマルチエンドになっており、途中の選択でラストシーンが大きく変わります。一応、たどり着きにくい方がトゥルーエンドと扱われているようですが、どちらをグッドエンド・バッドエンドと解釈するのか、人によってはモヤモヤするだろうなぁと思いつつ、ビターな物語がかなり好みでした。

 

2025年の期待タイトル

Hollywood Animal

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This is the  Policeを開発したスタジオの最新作。舞台はハリウッド、映画製作をめぐって金と権力争いのドロドロとした物語が展開しそうです。This is the Policeシリーズは3作遊んでいますが、一筋縄ではいかない登場人物達と、プレイヤーを善悪と利害で葛藤させるストーリーが特徴的なので、今回も苦渋の決断を迫られるのを楽しみ(?)にしています。

 

というところで一旦終わります。何だか重苦しいゲームばかりわざわざ楽しんでやってるような内容になってしまった……でも良い作品ばかりです。アーリーアクセスの2作については完成が楽しみでもあります。

この後はACT&STG編も書きます。たぶん。